HitoriYogari

さよならエンタメ精神

他人と生きていく

一月は旧友と集まる機会が非常に多い。
流れていく時間を感じやすい季節だから、昔の友人が懐かしくなるのだろうか。
今年も、懐かしい面々と再会して、近況報告をし合った。
今年のビッグニュースは、中学の頃、僕とお笑いコンビを組んでいたお調子者のTが、結婚するという話。
今まで、でき婚をした友人は何人かいたけれど、ちゃんと婚約して、プロポーズして、結婚、という流れを取るヤツは、Tが初めて。僕らはかなり驚いて、すぐに「おめでとう」の言葉もでなかったほどだが、よく考えてみれば、平成五年組は今年で二十三歳。母が僕を産んだのも二十三歳だったわけだし、晩婚化が進んでいる現代とはいえ、結婚の話が出るのはおかしくもなんともない。
そういえば、浮気ばっかりしているイケメンのNも、浮気はしてるけど今の彼女と結婚すると思う、と言っていた。豆腐屋のYも、生徒会長だったMも、能天気なOも、みんな長く付き合っている人がいて、それなりに落ち着いているらしい。
昨年会ったときには、恋愛への不満大会みたいになっていたのに……。一年の間になにがあったのやら。
しかしこうも一斉に変わるのは、僕らがそういう年齢へ達したということなのだろう。恋から愛へと言うと、あまりに陳腐だけれど、僕らは、初めてわずかに感じた老いや、いよいよ本格化してきた将来への不安のなかで、ようやく自分の人生を考え始め、その一つの結論として「他人と生きていく」ことを理解したわけだ。
偶然いい人に出会えたのもあるのだろうけど、僕らの精神がちょっぴり大人になったことが、この落ち着きに繋がっているのだと思う。人を愛するのも、自分自身が成熟していてこそ、ということだ。

かく言う僕も、最近はすっかり落ち着いた。まだまだ抱えている人間的問題もあるけれど、今なら、人が結婚する理由も分かるし(前まで分からなかった)、随分と恋愛に希望的になった。もしや僕は人の道を外れたのでは、と思い上がっていたけれど、案外不幸にはなれないものだ。

同窓の友とたまに集まるのは楽しいし、一緒に成長していっている仲間がいることを知ると、なんだか頼もしい。またすぐ遊ぼうな! と言いながら、次集まるのは、どうせまた来年の一月になるのだろうけれど、そのとき僕らは、どう変わっているだろう。Tの結婚生活も気になるところだし、結婚ラッシュも間近な雰囲気……。
もしかすると、一周して、また愚痴大会になるかもしれない。