HitoriYogari

さよならエンタメ精神

12月28日 僕は

八戸の夜。
眠っている後輩をホテルに残して、町へ出る。
気温はマイナス1度。凍結した道路を、わずかに残る点字ブロックの凸凹を頼って歩く。凍えるような寒さではないが、どこまでも歩いていくのは無理そうだ。
早々にコンビニを見つけて入る。棚には南部せんべいが並んでいる。
地域限定なのだろうか、牛タン弁当を買う。店員さんが美人だ。
久しぶりに一人になった。もう旅も三日目。そもそも出発以前から、用事尽くしであった。
嗚呼、一人。
寒さがますます、孤独を演出してくれる。
僕は一人でいる時間が好きだ。落ち着くような、昂ぶるような、不思議な思いがする。
一人だからと言って、特別なにをするでもない。だけど、なにをしたっていい。それがいい。
ましてや、ここは本州の果て。いつもよりクレイジーに振る舞ってみようか。
ほくそ笑みながら、ホテルへ戻る。どこに来たって、想像の世界が一番楽しい。旅は、想像を膨らませるきっかけだ。
明日はどんなことが起きるだろう。
そろそろ、洗濯が終わる時間だ。